種子法と種苗法でどうかわる?日本の農業

学んだ事


種子法とは

1952年に制定された法律で正式名所は「主要農作物種子法」です。特に日本においてよく栽培された野菜以外の主要品目である稲・麦・大豆種の子について、都道府県内で普及すべき優良な品種を奨励品種として指定するための試験を都道府県が実施する。という法律です。

日本は南北に細長いため気候もかなり異なります。ケッペンの気候区分(最高温度と最低温度もしくは降水量などから気候を分ける)を見ても北海道はDfb(亜寒帯)から宮古島のAf(熱帯雨林気候)まで様々な気候が存在します。

そんな中で全く同じお種で日本中どこでも稲作が出来るでしょうか?答えはNOです。

なぜなら気候が変われば、植物の生長する速度や流行する病気が変わってくるからです。そもそも稲作は中国長江流域発祥と言われており、そこから世界中に広まったと考えられています。特に赤道付近のタイなどは世界でも有数なお米の輸出国です。なので日本では北海道や、東北や新潟など寒い地域でよく作られているイメージですが、世界目線では熱い地域でよく作られています。では先ほどの問いと被るのですが熱い地域で作られているお米を北海道など寒い地域で作る事が出来るでしょうか?絶対無理です。多分発芽しなかったり、枯れたりします。しかしそういった作物を必死で品種改良を重ねて、その土地で栽培できるようになんとか作り上げた品種を奨励品種と言います。

特にお米や麦というものは皆さんが良く食べるものです。そこ何か良くないところがあれば健康や農場にかかわるところなので、都道府県が管理してきました。

つまり種子法で行ってきたことは①普及すべき奨励品種の決定②奨励品種の種子生産における原種原原種の生産③種子生産の圃場や種子の審査の実施の3つを行ってきました。ちなみに奨励品種の開発は1度改正が入った時に民間でもオッケーになっていたのですが、登録はされなかった。

ではこの法律を廃止したらどうなるか?と言われれば、

農家さんによって栽培される農作物に差が生じることは間違いないと思います。というのもあきたこまちやそういった奨励品種がなくなるわけではないからです。

今まで以上に農家さんが次の年に植える作物の種の選択肢が増えるという事です。例えば、民間企業が寒い地域でめちゃめちゃ美味しく作れる種子を作れば、皆さんそっちで育てると思いますし、もしくは外資企業がめちゃめちゃ安い種で育てるかもしれません。という感じです。なので農家さんにとっては個性が出てくるので、チャンスだと思うかもしれませんが、消費者側からするとよくわからない国の良くわからない企業が作った作物を食べるかもしれないというリスクが高まります。

また余談ですが、外資企業などは種とセットで除草剤を売ることがあります(いわゆる除草剤耐性をもつように作られた種子)。今日本では遺伝子組み換え作物は法律で禁止されているので一応大丈夫だと思います。そういう種子と除草剤をセットに使って栽培する例が、海外ではあります。(ブラジルでもね笑)そこで話を聞くと、その種と除草剤を使うとホンマに雑草が生えないので草抜きしなくてもよい、しかし何年もそこに組み換え作物以外の植物が生えないという現象があるので毎年その会社から種を買わないといけない悪循環が起こる可能性があります。また最近では抵抗性をもつ雑草も増えてきているみたいですしね・・・

そのような感じで食に対する安全性が脅かされる可能性が高まります。しかし地元の農家さんを応援することで、防げるのではないかと思います。収益がカツカツだと外資系の種子に手を出すかもしれませんね。

種苗法とは

簡単に言うなら植物の新品種を創作した時に、その創作者がその品種の育成者としての権利を持つという法律です。1度登録すると25年間「種苗」「収穫物」「加工品」を「ビジネス」として利用する権利を持つことが出来ます。これって普通に考えて特許とか著作権と変わらないですよね。この法律が制定されました。この法律が作られたきっかけは、日本で作られた品種が海外に流出してしまったからです。例えば、冬季オリンピックでカーリングの選手が韓国で食べたイチゴが美味しいという感想を漏らしたが、実際は日本で作られた品種を勝手に韓国に伝わり栽培された。というニュースなどがあります。

品種の著作権が認められるというこの法律ですが、良く論点となるものに自家増殖が禁止になるというものがあります。自家増殖とは今植えている品種を自分で栽培し、自分で種を取るという事です。これが禁止されると困る人も多いかもしれません。

しかし全部の品種でなく、登録された品種のみ禁止されます。だって勝手に種作って、海外もっていかれたら困りますもん。しかし、一般品種は自家増殖大丈夫です!!一般品種とは在来品種や、品種登録されたことが無い品種、品種登録機関が切れた品種です。なので農林水産省のデータを確認すると、イチゴの場合とちおとめは自家増殖OKです。しかしあまおうは自家増殖させるのには許諾が必要です。

引用 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/shubyoho.html

現在のところ多くの場合で一般品種が栽培されていることが多いみたいです。なので短期的に見たら大丈夫ですが、今後農家さんの負担が変わってきまね。しかし逆を言えば、農家さんが今まで以上に自分の農作物にブランドを付けることができ、個性を出すことが出来ます。あと著作権が生まれることでより良い品種の開発が行われる可能性が高いです。

つまり近い将来国産の安全でおいしい作物を食べようと思うと消費者側のコストは上がると思います。まあ食べるだけでしたら、外国産の安い食料品もあると思うので飢え死にすることはないと思いますが・・・

今回の改正を調べることで、より食もビジネス色が深くなったともいます。これを良いととらえるか、ヤバいととらえるかは人それぞれだと思いますが、安くて安心という食は難しい時代になるのでは?と考えています。