新型コロナウイルスのワクチン開発ってまだなの??
今新型コロナウイルスが世間で猛威を振るっています。しかし振り返ると過去に2回コロナウイルスが世間を揺るがしています。それは2002年から2003年に中国を始めSARSと2012年には中東でMARSです。ここで疑問に思いませんか?
過去に流行ったコロナウイルスかで今回の新型コロナウイルスに対応できるワクチンを病で作れるのでは?
今回はこの論文について紹介します
Characterization of spike glycoprotein of SARS-CoV-2 on virus entry and its immune cross-reactivity with SARS-CoV
https://www.nature.com/articles/s41467-020-15562-9
結果としては,SARSに対する抗体やSARSから回復した患者さんの血清では多少の効果があるが,ほとんど効果が無いみたいです。
人体は3つの防御壁によって外部に存在するウイルスや細菌の感染による発病を防いでいます。
・1つ目は皮膚などによる物理的な防御
・2つ目は白血球など自然免疫による防御
・3つ目が獲得免疫による防御 です。
この3つのラインを越えられると病気に感染し,発病してしまいます。
この説明は日本血液製剤協会のホームページを参考にしています。
詳しい話はここを見てください
http://www.ketsukyo.or.jp/glossary/ka13.html
このうち抗体は3つ目のラインに当たります。例えば,多くの人はインフルエンザや風疹麻疹などの予防接種を打ってきたと思います。予防接種はそれぞれの病気に対して抗体を持つために行っています。
ここから本題に入ります。
ということで同じコロナウイルスであれば,SARSやMARSから作った予防接種で新型コロナウイルスを防げるのでは?と思いますよね。インフルエンザウイルスもA型の予防接種打っておけばB型にも効果はあると聞きます。
しかし今回の新型コロナウイルスはそうはいかないみたいです。
今回の中国で流行ったコロナウイルスの特徴はSARSの持つ塩基配列と76%一緒です。また蝙蝠から採取されたSARS Like Virusと96%一緒です。このデータからSARSのような特徴を持っており,かつ蝙蝠由来の可能性があると考えられています。
今回ではコロナウイルスのトゲの部分に注目して実験を進められていました。このトゲの部分は体の細胞内に入るときに重要でかつ体側もウイルスを退治するときに使う目印だからです。
このデータによると新型コロナウイルスのトゲの特徴を持つウイルスは
まずAのグラフの一番右を見てください。MOCKという細胞に入らないウイルスに比べてグラフが大きくなっていますよね
つまり、Calu3という人間の肺の細胞に入りやすくなっているのがわかります。つまり肺炎を引き起こすのはこのウイルスが肺の細胞に入りやすいからですね
またBとCデータからはhACE2というSARSの受容体に結合する酵素にも結合しているかわかります。ここからもSARSと新型コロナウイルスは似ていることがわかります。
そして最後の実験ではSARSに感染し,回復した人の血清を使って実験しました。
結果として今回作ったウイルスではあまり細胞への侵入を防ぐことが出来ませんでした。逆に新型コロナウイルスから回復した人の血清を用いると細胞への侵入を防ぐことが出来ました。
今回の結果をまとめると,新型コロナウイルスの特徴として,2012年にはやったSARSと近いウイルスである可能性があります。
しかしSARSの時の薬などはあまり効果が出せず,新型コロナウイルスから回復した人の血清を用いる方がよいという結果でした。
噂では中国ではこの方法を取られていることもあるらしいです。しかし人の血を体内に入れるのはリスクがあります。なるべく感染しないように気をつけましょう。